6月上旬から7月上旬なかけてはホント、サッカー一色でしたね。
 ほんの10年前までこんな形で楽しめるとは夢にも思わなかったものでしたから、サッカーに携わる方々の努力と執念には頭が下がります。
 結果としては日本チームは1分け、2敗。まだ、たった(と言っていいのかな?)3回目の出場ですから、将来に対する課題がはっきりしたのですから良しとしなければいけないんじゃないかと思う島本でした。

 関係者やサポーターの方々の気持ちは充分すぎるほど分かるのですが、シュートひとつを取ってみても、日本選手のは“ポーン”という音だとするならば、諸外国、特にアフリカ、南米の国々のプレイヤーのシュート音は“ドカーン”でした。かなわんなと思わされましたです。

 そんなゲームを観ながらでしたが、その間、我が家にはオランダからのファミリーと、イタリアと日本のカップル(夫婦)が訪れてくれました。
まずはなにはともあれそんな時はワインで乾杯となるのが習いですが、どういうわけかまず、イタリア、そしてアルゼンチン、フランスと軽~く空けてしまったのです。たまたま家にあったものでしたが、その各国のワインに引っ掛けて大いに話が弾みました。

 決勝トーナメントに入った頃だったのですが、TVのニュースでちょうど選手たちが帰国の場面が出ていたのですが、「あれっ、日本選手は決勝まで見ないんですか?」とびっくりしていました。「せっかく良いチャンスなのに、なぜ?」と不可解な表情をしていました。

 まあ、いろいろな事情はあったのでしょうが、若いこれからの選手もいるわけですからね。スタッフやキャプテンは戻ったとしても見せてあげたかった、感じさせてあげたかったなぁと、ボクも素直に思ったものでした。

 そして7月3日、突然の中田英寿の引退宣言。ビックリはしたものの、孤軍奮闘、孤高の人なんぞというレッテルを貼られた彼の気持ちはHPによ

く表れていましたし、自分なりの結論づけがあったのでしょう。前々からなんとなく感じていたのですがボクにとってサッカーの中田の存在は、野球のイチローとダブルのです。さらにNBAのMJことマイケル・ジョーダンとも…。

 3人の共通点は4つあると思うのです。前2者には取材したことはないので独断、偏見であることをお断りしておきます。
 ① 負けず嫌い。
 ②頂点を目指しあらゆる可能性を探り努力する。
 ③勝つことに対する飢えを持っている。
 ④性格的にあんまり可愛くなさそう。
というものです。

 ①、②に関しては自分ひとりで完結できるものです。
 ③に関しては他を巻き込まねばできぬものゆえ、「今大会の日本代表の可能性はかなり大きいものと感じていた、今の日本代表選手個人の技術レベルは本当に高く、そのうえスピードもある。ただひとつ残念だったのは自分たちの実力を100%出す術を知らなかったこと。それをどうにか気付いてもらおうと4年間やってきた。時には励まし、時には怒鳴り、時には相手を怒らせてしまったこともあった。だが、メンバーには最後まで上手に伝えることは出来なかった」と書いています。なんか似ていますよね。

 さらに④の項目を中田は“サッカーに対する愛”を大事にするため、「ある時はまるで感情がないかのように無機的に、またある時はあえて無愛想に振舞った」とも書いています。

 サッカーに対する…を、バスケに対するに変えてみるとそっくりです。
 なんだか中田君、スコッティー・ピペンがいないMJの状態のようです。否定論、肯定論いろいろあると思いますが、これが彼の運命なのかなとも思います。
 そして無責任に観測できる専門外のサッカーですから言ってしまうと、しばらく離れていて納得できたらまた、戻ってくるんじゃないかと思うんですね。人間がやることですし、何があってもおかしくないと心底感じているからです。

 そして、ここからがボクの本当のワールドカップです。
 こちらは8月19日から9月3日までやる2006年FIBAバスケットボール世界選手権です。絶対に楽しめる事は請合います。
 何しろ世界中でバスケをプレイしている人が4億5000万人いるなかの天才288人が日本に来てくれるのです。面白くないはずないじゃありません

か?。日本代表は若手で試合に臨みます。サッカーの轍を踏まぬよう、思い残す事のない精一杯の闘いをして欲しいと思っています。どんな状況になろうともすごく大きな経験を積めるのです。
 19日から24日までが予選リーグ。札幌、仙台、浜松、広島で行われますが、札幌の目玉はNBAのスター軍団を擁するアメリカ。広島は我が日本代表が闘います。しかし、ボクは仙台と浜松にゲームを観にいこうと計画していました。シブイんです。出場チームが。

 仙台はナイジェリア、フランス、レバノン、ベネズエラ、アルゼンチン、セルビア・モンテネグロの出場ですが、フランス、アルゼンチン、セルビア・モンテネグロはNBAプレイヤーとその予備軍がザラザラ。
浜松はカタール、リトアニア、オーストラリア、ブラジル、トルコ、ギリシャの出場ですが、ここはオセアニア1位のオーストラリア、ヨーロッパ1位のギリシャ、アメリカ1位のブラジルと大陸代表とワイルドカード(推薦枠)のセルビア・モンテネグロとトルコです。カタール以外はすべてNBAプレイヤーが出てくると見られています。

 しかし、TV解説の仕事になってしまいました。札幌に行くことになりそうなのです。ぜひ、特に宮城県、静岡県にお住まいの方、ボクの代わりに現場に足を運んでください。こんな世界レベルの大会は1964年の東京オリンピック以来、42振りなのですよ。これを見逃すと生きているうちには来ないと思ってよいでしょう。

日本チームはサッカーの轍を踏まぬよう思い残す事のない戦いををして欲しいと思っています。

 いよいよ酷暑本番です。ご自愛くださいませ。それでは次回の「なんトラ」までSEE YOU!