いつになくオリンピックの色々なゲームを見てしまいました。
まぁ、スポーツに関連する仕事をしているのだし、当然気になっていましたので出来る限り時間を割いてみるようにました。一番出場を念じていたバスケの日本チームは男女とも不参加なのでとても寂しかったのですが、「そのうち出てくれるじゃろう」と期待を持ってポジティブに見守ることにいたしました。
そんな中で非常に肩の力が抜けていて、実力のすべてを一番良い形で出したのが女子アーチェリーの団体だったと思います。韓国から帰化した早川漣(24)、近大OBの蟹江美貴(23)、川中香緒里(20)は1回戦ウクライナ、2回戦メキシコと強豪を倒し、ここ20年以上アーチェリー女王の座に君臨する韓国と対戦したのですが敗戦。しかし、ロシアとの3位決定戦で見事に相手を突き放し銅メダルを獲得したのです。
この3人それぞれまとめ役、おっとりした癒し系、芯の強さを持つヤング、という個性が絡み合っていましたが、中でも愉快だったのがいつもニコニコの蟹江選手。銅メダル獲得後新聞記者から「何故アーチェリーをはじめたのか?」と聞かれた時の答えがふるっていました。「あまり動かなくてすみそうだし、何か楽しそうだったから」というものでした。
その時思ったものです。五輪に出られるくらいだから当然かなりきつい練習をして来たに決まっています。また、私の知る中でもコンセントレーションを最も必要とする競技なのですが、前述の「あまり…」です。「おい、おい、それで銅メダルを獲るなよ(笑)」と嬉しくなってしまったものです。このチーム、ゲーム以外の時もリラックスをすることが重要なので結構ロンドンの観光地を見て回っていたようです。
日本人はどうしてもストイックに自分を追い込んで勝負をしてしまいがちですが、脱力系ニュータイプのスポーツウーマンの出現です。
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さて次なる感動は女子サッカーなでしこジャパンです。これまでは“なでしこ”と言えば澤穂稀となってしまいましたが、今回はベテランに代わってキャプテンとなった宮間あやが、スポーツをする人間の原点はこうあるべきだという行動を見せてくれました。TVも新聞も勝敗だけ、結果だけを追いかけていて、メディアにそのことが載ることはあまりなかったのですが、世界の目はそんなシーンを逃さずとらえていました。
昨年のドイツでのワールドカップでも、決勝の試合後落ち込んでいるアメリカ選手と一人一人ハグして讃えあっている姿がありましたし、今回のオリンピック準決勝のフランス戦後も相手のうなだれて立ち上がることができないフランスの選手たちに寄り添い、言葉の壁を越えて慰めようとする宮間あや選手がいました。その気持ちを理解し、心を通わそうとするフランスのAbily選手。
これですよね。これが国際感覚のあるプレイヤーの姿だと思うのです。この写真1枚で十分すぎるほどの説得力があると思います。
勝った負けたは、その時の運もあるでしょう。でもどちらの結果になろうともその後の立ち居振る舞いが人間の格というものを表すことになるのだということです。宮間という、ここにも新しいタイプのスポーツウーマンが現れてきました。その姿を見ていた“チームなでしこ”のメンバーは見習って行動するでしょう。
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こんな2つの事例に感動して得た私なりの現在の結論はスポーツの理解度、普及度は金メダルの数ではなくメダル総数と入賞者の数ではないかと感じてきています。因みに獲得総数では38個で6位。金メダルは7個で11位。銀メダルでは14個で7位。銅メダルでは17個で5位となります。4年後のブラジルも楽しみです。
それでは次回の“なんトラ”までごきげんよう。