久し振りに、HOOPでつい最近まで“NBAな人たち”という4コマまんがを連載で描いていた蛇蔵さんに会いました。一緒にランチをとったのですが蕎麦をたぐりながら2時間ほどいろいろなお話をしてブランクを埋めることが出来ました。
 彼女は以前にいただいた名刺にイラストライターと記しているように非常に多彩な方。イラストもまんがも、取材して記事もさらには深い原稿も何でもござれといった感じです。何年か前のHOOPの年末の忘年会のような集まりで会って以来お話しするようになったのです。まぁ、HOOPで仕事が出来るくらいですからバスケ好きであることは間違いなく、アメリカ留学中も随分とNBAにハマっていたようです。

 さて、彼女のひとつの才能と言えると思いますがおもしろいこと、おかしいことに気がつくのが早く、それをいち早く言葉にして人に話したり、伝えるのが得意な所があります。その話を聞いているだけでも凄くおもしろいんですね。そんなタイプの才能がついに爆発しました。
 “日本人の知らない日本語”というコミックエッセイを2009年の2月に発行(メディアファクトリー/880円)したのです。日本語学校の先生が生徒である学生たちとの珍妙なる会話を披露してくれたり、日本に来ている学生たちの根底にある文化や、影響されている気候などをかわいい、愛らしいコミックタッチの画風で表してくれています。
 表紙の帯(業界用語では腰巻と言います)には日本語学校の先生vs外国人学生の笑える日本語バトルと謳っているように大爆笑でした。好評で第2巻も発行されていて、両巻で150万部くらい売れているといいます。

 我が家にもいままでいろいろなお国の若者がステイしていましたが、読んだ後経験上、思わず「ある、あるこういうの!」とうなずいてしまったほどです。
 台湾のアンジェラと言うお嬢さんは福山雅治の大ファンで“龍馬伝”をず~っと視ていましたが、あるとき「お父さん、えひめ(愛媛? どうも篤姫もは入って混乱しているようでした)って坂本龍馬の恋人ですか?」などとトンチンカンなことを言って大笑いさせてくれました。また、「お母さん、あいもはらってどこですか?」って言うので家の奥さんが「どんな字を書くの?」と聞くとしっかり“相模原”と書いたのです。われわれは「う~ん、すもうって読まないだけ凄い」と感心したものです。彼女は日本語検定1級の合格者ですがこんな楽しい日々の連続でした。
 そんなおもしろさをいやみでなく笑い飛ばしながら作って、ベストセラー。仲間が成功するということは嬉しいものです。才能と運と縁がぶつかるとこんなことになるんですな。
 
 なかにボクが感じ入る4コマまんががありました。
「クールな人たち」と言うタイトルで、ロシア美女軍団、全員無表情。先生が「なんでみんな無表情なの?」と聞いたら「寒いから、顔が凍るんです。「本当に?」というものです。知りませんでした。確かにロシアには美女が多いけれど愛想がないとは感じていました。
これで先日なにげなく視みていたボブ・ディランの番組の彼の談話が腑に落ちました。ディランはミネソタ州のヒビング生まれなのですが、
 「冬は寒すぎて、反抗する奴なんていなかった。それほど寒いんだ」
と言っています。反抗する気にもなれないのと、あまりにも寒くて無表情と言うのは同類項であり、カッコで括られるんですね。勉強になります。ホント。
蛇蔵さんのさらなる成功を祈っています。

 それでは次回の“なんトラ”までごきげんよう。