今回もヨーロッパで感じたことにしようと予定しておりましたが、その前にこの“レクチャー・レポート”をお伝えしたいと思いました。学生の皆さんの真剣さも私にはビシビシ来ましたので書かせていただきました。なかなかのものですよ、私のあった学生さんたちは。6、7年前に成城大学の文芸学部の“スポーツと文化”という口座では井上雄彦大先生にもお手伝いしていただいたこともありました。今考えてみるとお忙しいのによく来てくださったなぁ、と思い出にふけってしまいます。

 7月9日(木)と10日(金)の2日間、フープヒステリアのメンバーの通称WOGさんこと小倉めぐみさん(京産大の助教をされています)のご好意とご依頼で上賀茂(京都産業大学の所在地です)に行ってきました。WOGさんは文化学部に所属していてアメリカ文化について教鞭をとっておられます。バスケの知識はもの凄く、カメラの腕もプロはだし、さらにアメリカ文化をも教えてしまおうという方ですから、私などいつも彼女に会うたびに思わず頭を垂れてしまいます。ヒステリアのメンバーの方々は中学生から80歳オーバーの方まで、いろいろバラエティーに富んだ素晴らしい方がおられるのです。
 さて、9日は経営学部、経済学部の「アメリカの形成と発展A」。10日は文化学部、外国語学部英米語学科の「米文化概論Ⅰ」の授業でアメリカが生んだスポーツであるバスケットボールがどのように受け止められ、また、社会の中で機能しているか等を、メディアがどうからんでいるかを含めて話してくれということで、レクチャーしてきました。
 学生にとって興味のあるスポーツの話題で、なんとかバスケットというスポーツを理解して貰えるよう、つたない話ですががんばってみました。せっかく呼んで頂いたのだからこれだけは覚えておいてくださいと、バスケの生まれた日、そしてどのように伝播してきたのか?、など絞ってお話したのです。 
 TVの番組などで話すのと、生の人間を前にして話すのではまったく勝手が違います。前者の場合には反応はなかなか掴み難いし、後のちに判明することが多いのですが、後者は直に反応がビシビシ来るのです。
われわれの学生時代には、授業の途中に教室を出るなどということはまずありませんでしたが、今はつまらなければ平気で出て行ってしまいます。教える側にとってはおっかない状況ですねぇ。
 出席も教室の入り口にカードを当てると自動的に感知し出席を管理するというスイカやパスモ並みのハイテク振りです。これじゃあ、代返など出来るわけありません。すごいシステムです、ずいぶんと発展しているんですね。でも、後で考えてみたら、上に政策があれば、学生には対策があるわけで、誰かに頼めばよいと気が付きました(笑)。
 一応、両日とも最後の質疑応答の時に「これから社会人として世の中に出て行く皆さんがこんな人になっていたら一緒に仕事をしたいなと思います。ボクはね」という会社の中で仕事を楽しんでいくやり方を掴んでいる人の話をしました。そうしましたら、僕のつまらないレクチャーの終わったあとのQは結構そんな話に収斂していました。
 やはり、仕事の現場の経験を聞きたいというのが感じとられました。18歳から23、4歳までの大学生でスポーツは趣味程度の人にとっては、何かインパクトがないとすぐに忘れてしまうでしょうが、これからのことになると意味合いが違ってきます。彼ら、彼女らの近未来には就職という現実があるのですから、やはりそこがポイントになるのでしょう。
 ですから、こちらが一生懸命にストレートに話をすると決して反応がないわけではなく、かなりいろいろなシグナルを送ってきます。「何か夢中になれることを見つけて集中してやってみるといい」と言いました。「やりたいことかどうか少ししか分からなくとも、何もしないでずっと同じところにいるより、思い切ってやったほうが何かが見えてくるはずだからね」とも…。
そうしたら、何か皆がこちらを一生懸命に見ているのを感じましたね。こんなことを上手く掴んでいけばコミュニケーションは問題ないということを勉強させてもらいました。ふだんやらないことって、刺激はあるし、難しいし、疲れるけれど、楽しいものなんだということも。いくつになっても勉強です。
聞いてくださった学生の皆さんにはひたすら感謝するしかありません。どうもありがとう。

次はまたヨーロッパで感じた話に戻りたいと思っています。それでは次回の“なんトラ”までSEE YOU!