2012年5月5日現在、199cm、78kg。
日本人バスケットボール・プレイヤーとしては大きい部類に入ることになるでしょう。でも、高校3年生になったばかりであり、まだ身長が伸びているということですので、どこまで行くんでしょう。渡邊雄太君は。
今月はそんな前途有望な青年?、いやまだ少年?のお話です。
通常、日本人の身長の伸びはもちろんそれぞれのDNAによって異なってくるのでしょうが中学生のころに10~15cmほど成長して、171cm位になると言われています。女性は12、3cm低い158cm位。これが現在の日本人の平均身長といえましょう。
まぁ、高校生になっても伸びる子はいますが、大体が中学生のころに伸びきってしまいます。バスケットボールをやろうとする子は背が大きかったから勧められてとか、背が大きくなりたいからということで部活に入部してくる子が多いと言えます。これは洋の東西を問わず同じようなものと考えてよいと思います。
しかし、この199cmの渡邊雄太君は違いました。小学生の頃は160cmに届かず、中学2年生の頃は175cm、3年生の夏には母親の久美(旧姓久保田、元シャンソン化粧品で活躍、ナショナルチームのキャプテン)さんをようやく抜き、180cmを越えた位の中学バスケのプレイヤーであれば普通よりちょっと大きいかなという程度でした。しかし、ここから尽誠学園へ入学する頃まで毎月1cm伸びていたと言います。入学試験のときに久しぶりに会ったまわりは「ウオッ! でかくなってる!」とびっくりしたそうです。
中3まで170cm台ということはそれまでのポジションはポイントガードかシューティングガード。ボール運びとパス、そしてタイミングを見たシュート中心のプレイスタイルです、それがここに来て生きてきました。高校に入ってからもさらに伸びてメジャーデビュー(こんな言葉がふさわしいかどうかは分からんが…)の2年生時の昨年のウインターカップ(WC)では無印だっただけに、周囲をそのプレイ振りでびっくりさせたのは記憶に新しい所です。
ボクは彼の成長の仕方にアメリカ人の子供たちの成長のパターンを見ました。アメリカにはよく2m以上でもボールハンドリングが上手くガードの出来るプレイヤーが出てきます。これは高校高学年から急に成長すると言う特性から出てくるものと思われます。古くはマジック・ジョンソンなどは良い例で、最近では2mのガードも当たり前の状態です。日本のように子供の頃に大きければセンターと言う考え方で行っているとマジックや雄太君のようなプレイヤーはまず現れてはきませんね。
若き友人のH君が能代カップを一緒に見ている時、面白い表現をしました。[雄太はウインターカップの時より顔が小さくなっていますよ]と言うのです。おそらく冬以来のトレーニングが生きてきて肩幅や胸板が厚くなってきているからなのでしょう。
小学校4、5年生の150cm位の子が高松のファイブスターキャンプに来て一生懸命ハンドリングやドリブルをやっていたのはつい昨日のことのようです。何時大きくなるか分からないと言う良い例が雄太君でしょう。5番(センター)のプレイはいつでも覚えられます。彼を見ていると若年時にしか取得できないプレイをミニの指導者の方にはぜひ、教えておいて欲しいと思ってしまいます。

それでは次回の“なんトラ”までごきげんよう。