省スペースの趣味Thimble集め。 – なんトラ115

 このホームページをお読みのかたがたのご趣味はまず、井上雄彦兄の漫画であろうと推察いたします。いやいや他にもたくさん趣味は持っていますぞ…という方も多いでしょう。趣味というものはひとつでも良し、たくさんあっても良しでありまして、人生を豊かに彩ってくれるものであります。

 私メの趣味のひとつはThimbleの収集です。Thimbleと言ってすぐ分かる人はまず日本にはいないと言ってよいと思います。これは特に男性。女性でヨーロッパやアメリカに住んだことのある人であれば分かるかもしれませんね。
 発音は「スィンブル」と表すのがいいのでしょうか。「シィンブル」じゃないと思うんです。thの発音は日本人にとっては難しいですから、表し方も微妙です。
 ボクが最初にこの「スィンブル」に遭遇したのは四半世紀前のことで、NBAの取材でボストンに行っていたときのことでした。取材旅行の日常はホテルとアリーナの行ったり来たりだけですから、あまり文化的なことに接することはありません。しかし、この時は偶然1日オフの日が出来ました。そこで普段あまりにも雑駁なスポーツという場だけにいるので、バランスを取ろうということもあってひとりでボストン美術館に行ったのです。
 たまたま、そこの企画展で見たのが「スィンブル」だったのですね。天地2cm位の小さな先が少しすぼまった陶製の物でした。その展示の棚の前に30分位立ち尽くしていましたっけ。何に使う物か分からなくて、腕組みをし、首をかしげていたことを思い出します。 

そこに通りかかった美術館の職員を呼び止めて質問をしました。
 「これはなんというものなんですか?」
 「Thimbleですよ」
 「何に使う物なんですか?」
 「衣服を縫ったり、刺繍をする時に使いますね」
 と来たのです。それで「あ~分かった、指貫(ゆびぬき)だ!」と腑に落ちたのです。
 
日本の指貫は皮や金属で出来た指輪のような形をしていますが、西欧では指にキャップのようにかぶせて針の背を押し入れると言いますか、押し抜く感じで使うわけです。今まで見たことがなかったので全然分からなかったわけです。
 ボストン美術館に展示されているコレクションですからそれはそれは綺麗でかわいかったのです。小さな棚にずら~っと何百も並んだ姿は華麗で壮観でした。
 そういえばどこのホテルのお土産屋さん(たいていはドラッグストアを兼ねています)にもそこのと地名の入った陶製のものがあったなぁ、と思い出したのです。そこからコレクションが始まりました。
 
その後のジョージ・リベイロ氏と井上雄彦兄との“March Madness Tour”で全米を車で回っている時など、ドラッグストアやパーキングロットに泊まるたびに新種を見つけては喜んで買い込んだものです。この趣味の良いところは小さいこと、スペースがいりません。何時の間にやら集まること集まること、結構見栄えのする数にはすぐになりました。今では、そのタイプのお店に入ると向こうからボクの目に飛び込んで来るようになってしまいました。こうなると困ったものです。どうにも止まらなくなるのです。
 我が家に集まる友人も飾ってある「スィンブル」を見てからはお土産に下さるようになりました。「ポケットに入れて持って帰れるから楽でいいね」とこちらのパターンでも集まり始めたのです。

 アメリカやヨーロッパ、最近ではアジアでも現地の素材を生かした物を売っているところが多くなりました。皆さんも海外旅行に行った時少し気をつけて見て下さい。きっと見つかりますよ。
 趣味の世界は果てしなく深く長く続くといいます。まぁ、ボクもくたばるまで集めてみるとしましょうか。
 
 それでは次回の“なんトラ”でまたお会いしましょう。