さて、前回のなんトラは“居直りコミュニケーションのおすすめ”をしたわけですが、その前に、いや、英会話やその他の外国語会話を習ったり、覚えたりする前にしなければならない重要なことを言うのを忘れておりました。
見知らぬ土地に行ったり、見知らぬ人々を前にした時、否が応でも日本人であることを意識せざるを得ないことが多々ありました。そんな時意外と自らが生まれ育った国、日本のことを知っていない現実に唖然としたことが何度もあります。
そこで今回は、もう少し日本語をしっかり見つめなおすことをトライしてもらいたい、というおすすめをしたいのです。もちろんのこと外国語を一生懸命に学び、外国を理解しようとする姿勢や態度は必要不可欠なものですが、漢字の持つ意味を知ったり、諺などの意味を知ることによってかなりのコミュニケーション力が増すと思われるからです。
諺は小学生時代に覚え、中学時代の英語の授業でその諺を丸暗記したものが随分と役に立ちました。けっこう覚えているので自分でもびっくりしています。
たとえば“転がる石に苔は生えない”というのや“習うより慣れろ”などというのは、“rolling stones gather no moss.” “practice makes perfect.”と英語で書きますが、両方ともスポーツの中に出てくる会話にはかなり有効です。特に“習うより慣れろ”の直訳は“練習は完全を作る”となりますから言い得て妙な表現です。キャンプでよく使っています。
しかし、英語の苦手な人は日本語の、とくに漢字を見直してもらいたいものです。
中国語や日本語のように一字々々の文字にそれぞれ意味があって、全体でひとつの語となるものを表意文字といいます。そして、アルファベット26文字の組み合わせで綴る英語やその他のヨーロッパ言語、アジアではハングル文字で表す韓国語などは表音文字といいます。
“世界はひとつ”などとよく言われますが、言語的には決してひとつではないし、そんな言葉の違いが人間同士のコミュニケーションを妨げているのでしょう。英語で表現するにしても、その他の言語で表現するにしても、ファンダメンタルである日本語=漢字を学び直せばかなりコミュニケーション度がアップすると思います。
たとえば不正という語があります。正しくないことをすることですが、これをひとつにまとめると歪という字になりますが、不正をするから人間性が歪(ゆが)んでしまうのです。また、不正をした人が更正する、つまり悔い改めて元の正しいことをするようになると、甦(よみがえ)る、となります。
さらに人間の一大特性である“夢”を持つということについて考えてみると、ヒトだから夢をみるといわれるし、人が夢を持つから儚(はかな)いのだ、といわれます。儚いものだから、夢中になるのかもしれません。
ことほど左様に、表意文字の組み合わせだけでも大いに見直さなければならない意味合いを含んでいるといえます。言語をつかうのは不可解なる人間のみです。故に歪んでも甦るし、儚くても夢見るのだと思います。
日本語力、つまり表意文字というものを基本にすえてコミュニケーションしてください。知識的余裕が幅を広げます。そしてコミュニケーションの兆(きざ)しが見えたら一気に乗ることです。もたもたしていると“しんにゅう”が着いて逃してしまいますからね。
それでは、次回の“なんトラ”までSEE YA!