なんだかNYニックスが大変なことになっています。
たった一人の選手の活躍で大騒ぎです。そのプレイヤーの名はジェレミー・リン(Jeremy Lin)、漢字で書くと林書豪(Shu-How Lin)。ゴールデンステイトに昨年入団しましたが1年でカットされ、今年もシーズンの始まる前にヒューストンをクビになったプレイヤーです。

ジェレミーのオリジンは中国系。それも台湾であり、1970年代にアメリカに移民した台湾人のお父さんとお母さんの3人の息子の真ん中の子で、お兄さんはJOSH(ジョッシュ)、弟は(ジョセフ)といいます。
ノース・カルフォルニアのスタンフォード大学のある町、パロアルトで育っています。パロアルト・ハイ時代から勉強は出来るしスポーツも万能という子で地域の人気者でした。チームのキャプテンを務め、地域の賞という賞を総なめにしてきました。そして勉強の方も同様で、4.2GPAを取るすばらしさで、ハーヴァードに進学、IVYリーグの中でもナンバー1の大学で、NBAの選手より大統領を輩出している方が多いという学問の方での名門中の名門です。
そこで4年間プレイ、115試合(87試合スタート)出場で平均29.2分出場、12.9点、4.3リバウンド、3.5アシスト、1.96スティール、48.1%のシュート率を上げています。そしてIVYリーグ史上1450点、450リバウンド、400アシスト、200スティールをあげた最初のプレイヤーとなったのです。
そしてNBAですが、まったくドラフトされずフリーエージェントでゴールデンステート・ウォリアーズに入団しました(7/21/2010)。まぁ、故郷でもありチャイナタウンのあるサンフランシスコに近郊にあるチームですから「獲っておくか」という存在だったのでしょう。2010-11シーズンは29試合、284分出場、2.6点、1.4アシストというパッとしない成績で終えています。
案の定、上記のごとくカット。リンの数字くらいをあげるプレイヤーは山ほどNBAにはいます。もっとすばらしい経歴を引っ提げてNBA入りをするコービーやレブロンなどもいるのですからコーチの眼も研ぎ澄まされていますから…。
彼のプレイを見ると体がそれほど大きいわけでもないし(191cm、91kg)、際立って早いわけでもない。ジャンプ力だってあるとはいえない。でも、きちんと決めるところでは決めてしまい、回りを生かして盛り上げてしまうという不可解なプレイヤーといっていいでしょう。NBAのバスケット用語で言えばIntangible(触れることの出来ない、ばく然とした、実体のない)要素を持ったプレイヤーということになりますか。
そんな彼が2月4日のNJネッツ戦でスターターになると、19日の前年チャンピオンのダラス戦まで9試合で平均38.9分出場、25.0点、9.2アシスト、3.2リバウンドをあげ、チームを8勝1敗の好成績に導いてしまったのです。それまでの数字はプレシーズンゲームを含めても11試合で4.9分、3.2点、1.9アシスト、1.0リバウンド。
なんてこったという数字です。
メディアはバンバン、リンに対する造語を製造し続けてLin-stant(分かりますよね)、Lin-sanity(ビンス・カーターの場合はVin-sanityでした。LやVを抜くと精神異常という意味です…)、Lin-credible(信じられない)、Lin-sane(狂気とか錯乱、非常識という意味)などで派手に紙面やPC上を飾っています。
ボクだったらさしずめLin-tangibleとしたいと思いますが、まだ出てきていませんね。

ジェレミーの生き方のモットーなども出てきています。
1.誰も信じてくれなくても、自信を持とう。
2.チャンスが来たら、把もう。
3.家族が僕をサポートしてくれる、僕も家族を支える。
4.自分にもっとも似合う方法を作り出す。
5.チームの成功は、自分の貢献だけではない。
6.環境がいくら変わっても、もともとの自分を変えない。
7.謙遜の心を持ち、周囲の人によく接しよう。
8.他人は僕を愛する。
9.神様の恵みを忘れない。
10.努力すること。チャンスがいつ来るかわからないので、用意してチャンスを把めるようにする。
う~ん。すばらしい。
ジェレミーの暇なときの時間のすごし方は家族や友人と音楽を聴いたり、教会に行くことだそうです。
なんてこった、です。
人間というのはこんな事が出来てしまうから嬉しい。痛快だ!。

それでは次回の“なんトラ”まで御機嫌よう。