本当に久し振りに落語を聞きに行きました。
学生時代の友人がどうしても行きたいというのにお付き合いをしたのです。彼は、杜の都仙台に住んでおりまして、先の地震でも家は無事だったものの、かなりの心労はあったようでした。そんな彼が行きたいというのですから、しっかりとアテンドしなくてはなりません。少しでも気分が晴れてくれれば、という想いです。
で、まず確認しました。
「何故、落語なの?」
と。すると、
「仙台にも名の通った落語家が来て演じてくれるけれど、そのチケットはとてもとりにくいんだ。すぐにソルドアウトになってしまう。時々来るからそういうことになってしまうんだね。だから東京ならば常打ちの小屋(常に上演している寄席)があるので一度じっくりと時間をかけて聞きに行きたいと思っていたんだ」
ときました。演者についての特にという希望はないようでした。
そこでボクは自分の動き易さを加味して新宿の末広亭という寄席を選び、前売り券を買いに行きました。そうしたら売っていないじゃないですか。なんと当日売りしかやっていないというのです。興行の基本のママですね。
料金は一般・2700円、シニア・2500円、学生・2200円、小学生・1800円。
ちょっとみると料金は高いかなと思われますが、通常はなんといっても昼夜入れ替え無しというんですからこたえられません。12時から16時30分までが昼の部、17時から21時までが夜の部。見ようと思えば、いや、聞こうと思えば9時間もいられるんですから寄席に…。映画ではこういう訳には行きません。シニアは65歳以上で、ボクは初めて恩恵に浴しましたよ。
落語が中心ですが奇術、漫才、俗曲、漫談、物まね、太神楽、紙きり、コント、漫謡、大喜利、ギタレレ漫談などというようなバラエティーに富んだ演目があります。特に落語は演ずる題目が決まっておらず、同じ物がかかるということは絶対にないといいます。後から出てくるベテラン噺家はお客さんの反応を見つつ、重ならないように演じます。ここら辺が面白いんですね。
さて、落語といえば江戸時代から綿々と続く演芸の究極。歌舞伎などと同じで食事を採りつつ酒などをきこしめつつ楽しむのが王道で、伝統です。
われわれは伝統に従い、デパ地下で好物の玉子焼きやシュウマイ、その他のおかず類そしておにぎりとお酒などを調達して伊勢丹デパートの向かい側の筋を入った所にある末広亭の開演前に並びました。
うまいことにサイドの畳の舞台に向かって左側の桟敷席中央あたりに席をゲットできました。その席は前が下駄箱のような履物入れになっており、ふたの部分は25cm幅のテーブル状になっていて、まことに都合がよろしく出来ております。
落語やその他の芸を楽しむのはもちろんですが、上記の飲食、そしてお客さんたちの反応、面白くなかったり話が下手だったりすると口をあけて寝ている人がいたり、若き学生のような女性客の笑顔が素晴らしく素敵だったり、新たな発見がありました。そして、われわれの見れた有名な芸人は林家ぺー、元月の家円鏡改め橘家円蔵、そして後輩の江戸家猫八親子。現猫八のお姉さんは同級生でしたな。
夜の部は用事があったので見れませんでしたが、満足して気分上々、家路に着きました。仙台の旧友も同様な気分だといっておりました。次回は末広亭の隣にある老舗の洋食屋さんの“あづま”とセットで行きたいものです。あづまは明治大学バスケ部のOBの方が営んでおりますので、新宿にお越しのバスケファンは是非行ってみると良いと思います。リーズナブルな美味しいお店ですから。
それでは次回の“なんトラ”までごきげんよう。