bjリーグが開幕した11月4日、僕は早稲田大学の大学祭に足を運びました。久しぶりにぴちぴち女子大生でも見て英気を養おうと思……ったわけではなく、この学園祭の出し物の一つとしてバスケをテーマにしたシンポジウムが開かれると知ったからです。
HP(http://www.den-sports.com/wasedasai2006/)を見てみると、企画したのは早稲田大学スポーツ研究会というグループ。前回のレポートにある通りこの日は夜6時半から所沢でしたが、シンポジウムは4時までの予定とのこと。それなら間に合うなということで行ってみようと思ったわけです。

地下鉄早稲田駅から地上に出てみると、もうここから結構な人だかり。すぐ近くのコンビニでもレジで3分ほど並んでしまいました。キャンパスに入るとまさに芋を洗う状態。早稲田に来たのは2度目ですが、改めて規模のデカさを思い知らされます。ちなみに前回来たのは入試の時。サクッと落ちましたよ、えぇ(泣)。
人をかきわけるようにして、なんとか目的地の14号館にたどり着きました。少し遅れて行ったので、僕が入ったのはもうそろそろ休憩時間という頃でした。会場は講義で使う普通の教室、キャパは120人くらいでしょうか。僕が入った頃は30人くらいの入りで、学園祭のだし物だけに人は入れ替わり立ち替わり。多い時は50人ほどいたように思います。
パネリストはLegendでお馴染みのAJ、元JOMOの大野慎子さん、車椅子バスケ・千葉ホークスの安直樹選手、スポーツライター小永吉陽子さんの4人。話の内容はさきの世界選手権と日本代表についてです。「日本代表の諸問題」として、JOCからの強化費の少なさや候補者の大量辞退等の案件が示されます。一部ファンの間ではネット上など散々論議されてきた問題ばかりです。
さらに話は進み、協会の諸問題へ。組織の硬直化、世界選手権の資金難、福岡レッドファルコンズ解散といった、これまたファンの間で大きく話題になったものばかり。これらの問題にパネリストが各々の意見を述べていくという形です。テーマはズバリ「ここが変だよ! 日本のバスケ」。
少ししか聞いていないのですがその限りでは、ちょっと突っ込みが足りないかなという感じ。短時間では難しいかもしれませんが、パネリストに意見を求めるだけではなく、主催者側で問題点をもう少し掘り下げていれば、「ちょっと覗いてみようか」という感じで入ってきた人達も食いついてくれたのではないかと思います。協会もあれだけネタを提供してくれてるわけだし(爆)。

休憩時間に入り、知り合いの富士通サポの方が僕の所に来てくれたので、いろいろとバスケについて話をしていました。そこに「こんにちは~」と声をかけてきた女性が一人。今やバスケファンの間ではすっかり有名人になった、北村美夏さんです。実は、早稲田と聞いて僕は真っ先に彼女の顔を思い浮かべていました。やっぱり彼女も関わっていたんですね。
念のため説明しておくと、北村さんは早稲田を卒業したばかりの新進気鋭の女性スポーツライター。つまり僕にとっては同業者なわけですが、今のところ実績は10歳近く下の向こうのほうがかなり上(汗)。ジェリコ・パブリセビッチ前日本代表HCのインタビューがファンの間で話題になったのは記憶に新しいところです。
同じ世界に生きるライバルとして負けられないと思う一方、いろんなバスケ会場で顔を合わせる良き仲間でもあります。華奢でしおらしい感じの女の子ですが、そんな彼女のエネルギッシュな仕事ぶりはこちらをごらんください→ http://www.s-move.jp/catid_45.html

3人であれやこれやと話しているうちに第二部に突入しました。ここでは「ここから変わる! 日本のバスケ」ということで、まず新たな動きとしてbjリーグを紹介、続いてLegend、さらに車椅子バスケの現状等が取り上げられました。ここで特に積極的に発言していたのはAJ。まぁ彼の場合は元々よく喋る人なんだと思いますが。
Legend立ち上げの主要人物としてその経緯を語ったのはもちろんのこと、bjリーグについても評価すべき点と改善すべき点を具体的に挙げていました。さらに車椅子バスケについて安選手が語っている時もしっかり絡み、「僕ら5人vs安君一人で勝負して負けた」なんて裏話も披露してくれました。
所々にウケ狙いをはさむあたりはさすがというかやっぱりという感じですが、第一部から結構マジメな内容のトークをしていて、しっかりバスケのことを考えてるな~と思いました。いや、プロである以上それは当然なんですが、彼の場合Legendではそういうキャラじゃないもんで。ただ、結局周りより目立ってしまうのはいつも通りですね。

最後の30分は質問タイム。5つほど質問が挙がった中で最も印象に残ったのは、高校バスケのセネガル人ブームについて。大野さんは「うち(母校・長崎女子高)もやってしまったのでアレなんですけど(笑)」と言いつつあまり良い傾向とは思っていないような回答だったんですが、これについて「選手もやっぱりそう思ってるのか」と思った人も、それとは別の感想を抱いた人もいるでしょう。
僕が思ったのは、こういう意見を聞くのはファンにとっては非常に貴重だということ。僕のように取材する立場の人間は、現場の声を聞くチャンスがあります。例えば大阪エヴェッサのオンザコート4について、ブースターの間では盛んにその功罪が語られていますが、当事者あるいは他チームの選手は一体どう思っているのか。全てが本音ではないにしても、建前を聞く機会はあるわけです。
しかし、マスコミの露出が少ないバスケ界において、一般のファンの人達はその建前すらなかなか聞けません。いくら我々の間で議論百出したといっても、それらはあくまでも外から見ている側の言葉。現場の人間にしかわからないこともあるし、その彼らの声を聞くことができるというのは貴重なのです。今後こういう機会が増えることも、バスケ界が発展していくためには大事なことだと思います。
というわけで、早稲田大学スポーツ研究会の皆さん!! 来年の学園祭でと言わず、いつでもいいからまたやってください。お手伝いできることがあればやりますよ。日本バスケの明日のためにね。

追記:シンポジウムにはLegendの「ぬま」もチラッと顔を見せていました。AJもいるし、安選手も勉族で一緒に活動してるもんなぁと思ってたんですが、どうやら大野さんも勉族に入ったとか入ってないとか。Legendのセバスチャンによく似た人もいるみたいだし(爆)、今度勉族特集でもやろうかな?