不思議な無駄のすすめ。 – なんトラ134

 私の周りの仲間が徐々に第5の人生に入り始めています。
 昭和21年生まれのわれわれは団塊の世代のはしりであって、ベイビーブーマーと言われています。そして、その後の22年から25年生まれを団塊世代と言うわけです。なにしろ人数が凄く多いのです。ですから、その年代がリタイアし始めると社会自体の仕組みが変わらざるを得なくなって来ています。高齢化などという言葉のその真っ只中にわれわれがいるといって間違いありません(自分ではまだ高齢などと思っておりませんが…)。

 そこで、冒頭の第5の人生です。その解説をするとなれば、
 第1の人生は生を受けてから中学生になるころまで、身体と心が成長してくる人間の基礎を築く時(0歳~12歳)。
第2の人生は中学生から社会人になるころまで、もちろん高校を出てすぐに就職する方もおりますが大学や大学院くらいまでの間にどのような人生を送りたいのかと必死に、あるいはほのかに考える時(13歳~22歳)。
第3の人生は社会人としていろいろな経験を積み、結婚して家庭を持ちそして子孫につなぐという時(23歳~40歳)。このころに家を持ったり子供をつくったり、会社でいろいろ悩んだりもする大変な時期、仕事の修練の時です。
第4の人生は第3とのつながりがありますが、まっしぐらに仕事に生きる時と言ってよいでしょう。家族のことを考えつつ、仕事のことが一番気にかかる時、仕事で大きく社会に貢献できる時(40歳~60歳位)だといってよいでしょう。

そして第5の人生です。約60年間、身体を酷使してきてあちらこちらが悲鳴を上げ始めてくる頃です。うまいことにこの頃にリタイアメント・エイジとなるようになっています。人にもよりますが、さらに懸命に働き続ける方と「もういいやっ!」と自らの楽しみに生きる人が出てきます。
私の友人には後者が多いようです。
現役時代はそれこそ企業戦士として世界中を駆け回っていた面白い友人ですが、彼のことを紹介します。彼を仮にKさんと呼びましょう。
Kさんは化学畑の仕事をしっかりやっていました。でも30代には“くも膜下出血”、40代には酔っ払って地下鉄のホームから“落下”、50代には“心筋梗塞”を発症、60代には“咽頭がん”がみつかるという病気のデパートみたいな人なのです。
ですから「もういいやっ!」となったのでしょう。
すっぱり仕事はやめました。
私たちの年代は「人に引きずられて動くより、人を引きずり回すようになれ」と言われて育ったのですが、Kさんは「引きずり回すより、引きずられている方が楽かもしれないよ?」などとボソッという面白い存在でした。ですから第5の人生に入ってからは完全に彼のペースになって遊びの上で私をリードしてくれています。昨年末から月1回のペースで夫婦4人(全員が同い歳)が車で遊びに行く日を作っています(彼は運転が大好きなんです)。その時に彼のユニークさが存分に発揮されます。

今まで行ったコースを列記すると、
① 野川(世田谷の端っこを流れている小川)の源流を探索。
② ノーマンズランド展鑑賞(仏大使館の旧庁舎の解体までの間に4000平方mのスペースで行われた現代美術家、建築家、デザイナーの無償のアート展)
③ 猿島探訪(横須賀にある小さな島。行った日は船が出ずサルがいるかどうかは判明しなかった。再度、挑戦の予定あり。で、戦艦三笠を見学。ちょうど“坂の上の雲”のTV放映があったのでタイムリーではあった)
④ 川崎扇島(NKK、日本鋼管のあるところかな?)にある海中を歩いて通れるトンネル(車道は別に存在する)の探訪。
⑤ 横浜英連邦戦没者墓地(保土ヶ谷の権太坂近く)。日本にこんな所があるなんて! というハワイやアーリントンの戦没者墓地みたいな素晴らしい場所。
というような具合です。不思議な所を探す名(迷)人なのですな。私のメンタリティーの中にはまず行くことはないであろう場所ばかりで、最近はこれを待ち遠しがっている自分を発見して嬉しくなっています。

 “無駄”と言う言葉を使っていいかどうかは分かりませんが、その大切さを教えてくれる良き師です。彼は“なんトラ人生”を実践していますな。
 資生堂の会長の福原義春さんが「人に影響される人間になろう。そうすると人に影響をする人間になってくる」と言うようなことを新聞のインタビューで答えておりました。私も彼にもっともっと影響されようと思っています。楽しいですから…。
 
それでは次回の“なんトラ”までごきげんよう。