能代にはプロバスのチームも存在できる素地は十分できています。 – なんトラ82

 もう、1か月もたってしまいましたがちょうどゴールデンウィークの後半の連休に、秋田の能代へ仕事で行ってきました。もちろんバスケの取材兼、昨年からお手伝いしている熱戦ビデオ(だんだんDVDになってきていますが)で有名な“リアルタイム”のシリーズの解説です。

この能代カップという大会は能代工業高校がホストになって開催しているインビテーショナル・トーナメントですが、今回で20回記念大会という由緒ある大会になっています。
 高校バスケのコーチの世界では、インターハイ、国体、ウインターカップに次ぐ第4の全国大会というような位置づけとみられているトーナメントに成長し、能代に招待されたチームは大体上位に食い込む実力を持っているようです。
 昨年は兵庫国体の県選抜、香川の善通寺一高、大阪の市立桜宮高、千葉の市立柏高そしてアメリカのモントロス・クリスチャン・ハイスクール。
今年は宮城の明成高、千葉の市立船橋高、宮崎の延岡学園高そしてアメリカからダマーサ・ハイスクールが来ているのです。

この、アメリカの2校は常にナショナル・ランキングでトップクラスに位置する高校でNBAの選手も多く輩出しており、モントロスは現在アイビーリーグのコロンビア大で活躍しているKJこと松井啓十郎君、ファイブスター・バスケットボール・キャンプHCの岡山恭崇さんも留学していたWCC(ウエスト・コースト・カンファレンス)のポートランド大でスターターになっている伊藤大司君の母校。昨年は彼も来日? しました。
また、ダマーサもNBAグレイツのエイドリアン・ダントリーやダニー・フェリー、そして日本にも縁の深いジョン・パトリック(昨年スーパーリーグ優勝のトヨタ自動車のHC)さんの母校であり、カレッジのスターを挙げたらキリがないほどいます。来日したメンバーにもお父さんと叔父さんがシカゴとワシントンで活躍した(ハーベイとホーレスのグラント兄弟)207cmのジェライ・グラント(クレムソン)、やガードとフォワードの両ポジションをこなすオースティン・フリーマン(ジョージタウン)らがいる掛け値なしの強豪です。

これまで、こんなレベルの高い相手と試合をするのはナショナルチームクラスからでしたから、今の高校生は恵まれています。なるべく早い時期に最高のレベルを体感するということが重要なのですからね。
そんな意味では、地方の小さな都市でもやれてしまう能代のバスケ環境のディープなこと、また関係者の皆さんの努力には頭が下がります。
さて、この大会の解説は先代の能代工監督の加藤廣志先生とともに行いました。廣志先生も基本的に良い点を見つけてのアドバイス的な解説をしていただきましたが、明成高のパッシングゲームは褒めておられました。確かにダマーサとの対戦でもこの戦法は良く効いていましたし、苦しめてもいました。ボクが見ても小気味良いチームプレイ振りでしたが、この試合後にアメリカの指導者の大きさと深さを、感じさせられる出来ごとがあったのです。

ダマーサのアシスタントコーチのデイビッド・アトキンスさんが明成の佐藤久夫コーチのところに来て、試合前にアップを兼ねてやっていたパッシング・ドリルはどういう点を注意しながら指導するのか? と教えを請いに来たのです。彼は206cmはあろうかという長身のスキンヘッドの白人です。ダマーサが体育館に入ってきたときどこかで見たことのあるコーチだなぁ、と思っていたら昨年のモントロスのアシスタントで来日していたのです。トランスファー(移籍)していたのです。
彼は来日2回目だけに日本の実力も分かっていたし、「とくに最終日の試合はアメリカでもなかなか体験できない、完全アウェイのゲームになる」とマイク・ジョーンズHCに進言していた程の方です。それはそれは、真剣な面持ちで質問していました。先達のアメリカの強豪校コーチがここまで開けっぴろげに聞いてくるのか…。驚きでした。
しかし、これがアメリカの強さなのだなぁ、とその時、ボクは感じたのです。自分たちにないものを持つ優秀なコーチには、どこの国であれ、素直に教えを請う。この姿勢です。
良いものを見せてもらいました。
まだまだボクはトライする姿勢が足りないな、と自戒させられたワンシーンでした。こういうことが取材の現場にはゴロゴロ転がっていますが、自分を磨いていないとそれに気が付かないこともあります。日々これ精進しなければいけません。ホントに…。

トーナメントは初日が2300人、2日目が2800人、最終日は満員札止めで立ち見を入れたら4200人位は入ったといいます。
見事なものです。高校のレベルでもこんなに入るのです。プロチームの必要な時期が来ていると感じたのはボクだけではないと思います。何しろ秋田には若者の勤める仕事場がないので、みな都会に出て行ってしまうのですから。
秋田に、能代にバスケが“必要不可欠”と感じている人がいるとするならば、プロチームがないのは“画竜点睛を欠く”ということになるでしょう。それだけのポテンシャルは十分にあるとみています。

それでは次回の“なんトラ”までSEE YOU!