isi_basuke
話は2年前にさかのぼります。衛星放送のWOWOWが2011年11月23日に朝から晩までマイケル・ジョーダンの映像を流す企画をやりました。タイトル名は“マイケル・ジョーダンの日”たしか朝8時から背番号にちなんで夜23時までだったと記憶しています。
それこそいろいろな手法を使ってMJを料理? しました。その時点では、なぜこんな思い切った企画ができるのだろう、と思ったものです。考えてみると3つの理由が浮かび上がってきます。

1つ目はそれまでNBAの権利を持っていたJスポーツがその権利を手放し、違う局でやっているんだぞと言う差別感を出すためというものがあったのでしょう。

2つ目はWOWOWは個人から視聴料を取るにあたって、バスケ好きにとっては絶対的な人気を誇るジョーダンのパワーを使って一気にファンをあつめてしまおうと言うこともあったと思います。マイケルの現役時代を知る年代、30~40代がこの際、契約をしてくれるように考えたのではないか? と思われます。

3つ目は円高の効果です。いまでこそ円は100円近辺を行ったり来たりしていますが、当時2011年頃は80円を割るかどうかという時でした。この20円の差は大きい。外国から買うものはすべて2割引なのですから、映画であろうと、スポーツであろうと外国ものの素材が多いWOWOWにとっては言うことなしの時でした。
TV業界の事情通に言わせると“WOWOW一人勝ち”という表現をしていました。なんとなく納得したものです。

さて、MJを料理する方法の1つとしてパソコンに動画を流す新しく注目を集めていたUストリームという新しい手法も使ったのです。渋谷の公園通りのスタジオにファンを集め、MCの方(名前を忘れました)と芸人であり、一橋大の講師も勤めているサンキュー・タツオさんらとMJについて語る2時間ほどの番組でした。そこに来ていたファンの一人がお医者さんであり、日本医師バスケットボール大会の役員をすることになっていたWさんだったのです。

収録が終わったあと彼が話しかけてきて、MJの話をひとしきりした後、その大会の存在を知る所となりました。もちろん、医学生たちのリーグ戦や全国規模の東医体(東日本医科学生総合体育大会)や、日医体(日本医科学生総合体育大会)のバスケ大会があることは知っていました。最初はその大会か? と思ったのですが、聞いていくうちに現役のお医者さんがゲームをするというのですから、俄然興味がわきました。それも、約1500人位のお医者さんが1か所に集まるというじゃありませんか。

真剣に勝負にこだわるVリーグ、バスケを楽しむEリーグ、そして女子のLリーグ、90チーム以上の出場が見込まれるということでした。11月2、3、4日の3連休に行われ、3日夜に“レセプションで短くて好いからスピーチを”ということでした。
NBAの話ばかりでなく、今ボクが関わっているいろいろなバスケに関する活動の話をして欲しいと言うことだったのでお受けしました。世の中に影響力のあるお医者さんたちが少しでも興味を持ってくだされば、草の根のレベルでの広がりが期待できようというものだからです。

3日に試合を見ました。ゲームはどの試合も白熱して、レベルはかなりのもの。皆、一生懸命で日ごろの運動不足を補うかのように動いていました。そして試合が終わると皆汗いっぱいの晴れ晴れとした顔になっています。
20代、30代の方々のプレイは普通の市民大会レベルの動きですが、僕が興味を持ったのは40台オーバーのプレイ。さすがに継続されている方々が多いようで見事なプレイが随所に見られました。こんな元気なお医者さんに診察してもらえれば治療とともに元気ももらえるのではと感じたものです。

超OBは70代、いつまでも続けて欲しいと思ったのはボクだけではないでしょう。そんなOBの方が面白い表現をされていました。
「島本さん、われわれは常に患者をみていますが、病気はなんとかなる、治せるんですよ。でもね、癖(へき)はなおせない。ここに来ている連中は難しいですね」。
という言葉は、その夜のレセプションでも大いに発揮されておりました。ちょうど同時期に愛知の一宮で40歳以上のシニアバスケの全国大会の八幡カップが行われておりましたが、そちらに出られてから医師バスケ大会に馳せ参じたという猛者もおりました。
バスケに取り付かれた人を、ボクは今まで“病気”と表現していましたがこれからは“癖”ということにしようと思います。
良い癖だと思っていますのでそんな方々とせいぜい仲良くさせていただこうと思った第22回全国医師バスケットボール大会の取材でした。

それでは次号の“なんトラ”でまたお会いしましょう。

後の話があります。
レセプションの時に「是非、能代に!」とお誘いしました所、去る7月5、6日に岡山、兵庫、東京、千葉から12人のドクターが来てくださいました。お忙しかったろうに、本当にありがたいことです。これで突破口は開けたので、毎年出来たら楽しいんですが。相談しながら進めると致しましょう。